Dragon Beard Candy / 龍のひげの名を持つスイーツ

チャイナタウンのGrand St沿い、屋台からのぞく真っ白な美しい絹で包まれた繭のようなお菓子、その名もDragon Beard Candy(龍のひげキャンディ)が人目を惹いている。

中国発祥の伝統的なお菓子で「龍鬚糖」(ロンシュータン、lóngxūtáng)または「銀絲糖」(インスータン、yínsītáng)という名で二千年以上前から親しまれてきた。現在では韓国や台湾、日本でも販売されていて、ここニューヨークのチャイナタウンでも屋台を構えている。

このDragon beard Candy、その作られ方に特徴がある。まず固形のキャラメルを少し練る。その後、真ん中に穴を空けてドーナツ状にし、たっぷりとライスパウダーをまぶしながら引きのばしてはねじり、また引きのばしてはねじっていく。この動作を繰り返すうちにひもがどんどん細くなり、最終的には16000本以上もの細い糸状になるという。できあがった糸状のキャラメルを一口サイズに切り、刻みココナッツとピーナッツを手際よく包んでいく。固形のキャラメルからものの5分でみるみるうちに繊細な絹のような糸に姿を変えていくその技術はまさに神業。忙しいチャイナタウンの道中で思わず足を止め、屋台で繰り広げられるショーに見入っている観光客も少なくない。

実はこのDragon Beard Candy、世界中から集まったニューヨークのベンダー(移動式屋台)フードのNO.1を決めるベンディー・アワード2010のデザート部門で見事賞を勝ち取ったという実績をもつ。それも納得、珍しい見た目や作り方のみならず、このお菓子はまた、これまで体験した事のない食感と甘く優しい味で食べる人を魅了する。口に入れるとライスパウダーの優しい味が広がり、外のもっちりとした食べごたえと中の刻みココナッツとピーナッツの食感を楽しみながら、口の中で溶けていくキャラメルが余韻を残す、なんとも贅沢な一粒である。

Text by Sayaka Ashimura


Yao’s Dragon Beard Candy
Grand st.沿い(Chrystie St. & Bowery)