Marco Conora/マルコ・カノラ

出身地: ニューヨーク/アメリカ
業界歴:24年
カテゴリー:イタリア


イタリア人の両親をもつマルコ氏。彼はニューヨーク生まれだが、彼の母親は50年代にイタリアのトスカニーからアメリカンドリームを夢見て移民。その当時イタリアのハーブや野菜を買えるどころか作っている人もいなく、イタリアから種を持ち込み家庭菜園で野菜やハーブを栽培。マルコ氏の食卓にはいつも新鮮な食材で作られたイタリア料理が並んでいた。

彼が初めてレストランで働いたのは16歳の時。皿洗いから始まり、すぐに料理も作り始めた。レストランという環境が好きで料理学校の進学も考えたが、家族から反対を受け、大学へ進学。将来どんな仕事に就こうとも、ビジネスについて学ぶ事は必須。将来の選択肢を広くする為にも大学進学を決め、マンハッタンのペース大学へ入学、インターナショナル・マーケティングを学ぶ。

田舎からマンハッタンにやってきた彼は、マンハッタンを散策している時にふと見つけたお店。ニューヨークの老舗グルメ・リテール・ショップの「Dean & Deluca」。今迄見た事のない食材が溢れかえっている店内を、目を丸くしながら散策。そして、その場で総菜コーナーでアルバイト出来ないかと直談判。彼の熱意が通じ、アルバイトを始める。1日に25ガロン販売されるスープを担当。スープに使う材料は全て手作業でみじん切りにする。そこで、ナイフの使い方を学び、3年間みっちり経験を積んだ。

大学4年の時、知り合いの音楽事務所でアルバイトを始める。決められた時間のオフィスワーク。机に向いっぱなしの1年間。そこではっきり、自分にはオフィスワークは向かないという事を認識したマルコ氏。卒業時にはその後の進路はまだ決まっていなかったが、とりあえず自由に色々なことを体験したいと思い、卒業祝いにもらったバイクでアメリカ横断を開始した。

まずは、コロラドで1年間、そして次にサンフランシスコで2年間レストランで働いた。レストランで働くことは、生活をするための「仕事」であったが、28歳を迎えた時真剣にレストランビジネスを本業で成功したいと決心し、食の都ニューヨークに戻る事を決意。ニューヨークで最も人気の高いレストランをリサーチし、スーツに身をまとい、レジメを持ってレストランを回った。

料理学校にも行かず、経験もそこそこの彼にあるのは、やる気と根性だけ。その当時、トム・カリキオがエグゼクティブ・シェフを勤めるグラマシー・ターバーンを面接で訪れた時に一生懸命働くということをアピールし、キッチンでのポジションを得る。その後、彼の努力の結果、たった2年でスウ・シェフまでのぼりつめた。その後2001年にクラフトのオープニングスタッフとして抜擢されクラフト・バー、ラスベガスのクラフト・ステーキのオープニングにも携わる。約8年間トム・カリキオの右腕として活躍してきたマルコ氏。2003年に念願の自ら経営するレストラン「Hearth」をオープン。2007年 には「Insieme」、「Terroir」をオープンする。

マルコ氏の料理に対する信条は、LESS IS MORE! あまり手を加えすぎ、複雑な味になるよりは、素材の味を活かす調理のテクニックが大切と考える。 また、安定した持続性のある料理を作ることを心がけている。時間をかけて1回だけ作れば美味しい料理もできるであろう。しかし、決められた時間内で、大勢の人に食事を提供するという「レストラン」という環境では、同じ料理をいかに同じレベルで調理しお客さまのテーブルにお出しするかが最も大切。それらが可能な料理を最高のレベルで作り上げることは、レストランのエグゼクティブシェフの最も重要な役割だとマルコ氏は考える。

また、自ら経営する現在3つのレストランのエグゼクティブシェフでもある彼。複数のレストラン経営で大切なことは、まず第1に食品販売業者とのいい信頼関係を築く事。自分のスタンダード、こだわりを理解してくれる長年の付き合いがあれば、食材調達の部分は信頼できる。そして第2にレストランオペレーションの要の従業員との信頼関係を持つこと。やる気のある人材の雇用と、従業員の働き易い環境作りは必須と語る。

目標を決め、やる気と熱意で道を切り開いてきたマルコ氏。ここまで来るには楽な道のりではなかったが、常に向上心と集中力を持ち続けてきた結果が成果となり今がある。常にスタッフの模範となるべくまた、スタッフと一緒にレストランを盛り上げて行くため、毎日3つのレストランを精力的に駆け回っている。


2002年から2003年
「Craftbar」エグゼクティブ・シェフ
2003年から現在
「Hearth Restaurant」エグゼクティブ・シェフ/パートナー
2007年から現在
「Insieme」エグゼクティブ・シェフ/パートナー
2007年から現在
「Terroir」エグゼクティブ・シェフ/パートナー