SAKE AND THE CITY

ニューヨーカーの間でも大人気の日本酒。その中でも、夏を涼しく演出してくれるとっておきの冷酒の楽しみ方を、ニューヨークで活躍中のきき酒師チズコさんに紹介して頂きました!

 

チズコがおすすめする冷酒の楽しみ方

1:シャンパン用のフルートグラスで吟醸酒を楽しむ

お酒に詳しくない方でも、「吟醸」、「大吟醸」という響きは聞いた事があると思います。簡単に大きく分けて言うと、どちらにも使われている「吟醸(ぎんじょう)」という名前が付いているお酒は、付いていないお酒に比べて、味わいが軽く、お米臭さが押さえられています。その代わりにジューシーな果実や花などを思わせる「吟醸香」と呼ばれる美しい香りが立つお酒が多いのです。

「吟醸」タイプのお酒は軽くて爽やかなタイプのものが多く、特に夏の生酒や、スパークリングタイプのものは、キリリと冷やして、陶器のお猪口ではなく、ガラスのタイプのものや、フルートグラスで楽しむと雰囲気がぐっと変わります。そして味わいはすっきり爽やか、そして見た目にもとてもスタイリッシュに演出できます。フルートグラスがない場合は、ワイングラスでももちろんOK。 お猪口で飲むよりも吟醸香が華やかに広がり、ラグジュアリーに楽しめます。

2:オンザロックで楽しむ

「日本酒でオンザロック?」と思われる方もいるでしょう。これが、また楽しめるんです…とはいえ、上記の「吟醸」タイプだと、さっぱりしすぎてしまう場合が多いので、この場合は、ちょっとボリュームがしっかりしている純米系や熟成したタイプ、特に「原酒」タイプがお薦めです。「原酒」というのは、日本酒の醸造過程の最終段階で加水をしていないお酒、つまりタンクから絞りたての味わいを楽しめる濃厚な旨口タイプのものが多いのです。

もちろん、原酒の大吟醸、吟醸も色々出ているので、まずはそのまま試してみて本来の味わいを楽しみ、さらに濃厚なタイプ、と思ったらオンザロックに。その際、できれば小さな氷よりも、大きめのロックアイスで楽しむ方をお薦めします。小さな氷だと、すぐに水っぽくなってしまいます。お店でオーダーする時は、サーバーさんやバーテンダーさんにお願いして、ロックグラスにロックアイスだけ入れてもらったものを別で頂いて、3口分くらいの分量だけを入れて、なくなったらまた注ぎ足すと、水っぽくならずしっかり日本酒らしい味わいも楽しみながら、飽きのこないキリリとした飲み方が楽しめます。甘いお酒がお好みの方やアルコール類が弱いという方は、日本酒ベースの梅酒をオンザロックで同様のスタイルで楽しむのもお薦めです。

チズコがこの夏おすすめする冷酒

☆フルートグラスでぜひ
「獺祭三割九分純米大吟醸スパークリングにごり」

今までのにごり酒のイメージを覆します。青林檎や白桃を思わせるジューシーでフレッシュなフルーツの香りに心地よいスパークリング。爽快感あふれるスパークリングタイプは、乾杯の一杯に最適。また、ホームパーティー等のギフトにもお薦めです。(イーストビレッジのリカーストアSAKAYAさんで購入できます。)

☆オンザロックでぜひ
「天狗舞旨醇(うまじゅん)」

しっかり山廃ウマ口純米でお馴染みの石川県の銘酒天狗舞。こちらの旨口で芳醇な、その名もずばり旨醇(うまじゅん)は夏ならまったりオンザロックでもお薦め。

☆オーガニックにこだわるあなたに
「出羽鶴 松倉」

こちらのお酒は無農薬はもちろん除草剤も一切使わず、しかも他の水田と隔離された特別な田んぼで作ったお米で作られた特別純米酒。しっとり一口飲む毎に、澄んだ水で育ったお米の一粒一粒までも感じるようなきれいなお酒です。こちらも夏なら見た目にも涼しいきれいなガラス製のお猪口やフルートグラスですっきりと楽しんでみてください。

チズコがおすすめする冷酒を使ったカクテル

ニューヨークで活躍中の人気ミクソロジスト、「蕎麦鳥人」の山本幻さんが、ご自身で厳選された野菜やフルーツを使って日本酒のカクテルを作ってくれます。日本酒の新しい楽しみ方に出会うことができますよ。旬の食材を使ってのカクテルなので、メニューは頻繁に変わるのでその時にしか飲めない冷酒のカクテルをお楽しみください。

南部美人特別純米とプラムのカクテル

ほんのり甘い柑橘系の果実を思わせる南部美人特別純米に、酸味爽やかなフレッシュプラムをぎゅっと搾って。夏のほてりを一瞬で冷ましてくれる リフレッシュ感満点の、そしてビタミンたっぷりの爽やかカクテルです。

大七きもと本醸造とコーンのカクテル

これぞミクソロジストの技!お米の旨味十二分に味わえるきもと造りの大七に、軽くグリルしたフレッシュイエローコーンの甘みが合体。幼少時代の夏を思わせる懐かしいミルクシェイクのようでいながら、今までに出会った事のない新しい味わいです。

チズコピックの冷酒を楽しめるバーの紹介

SAKE AND THE CITY ということで、今回はあえて、ガールズで、もしくはカップルでクールにシティスタイルで日本酒を楽しめるバーやラウンジタイプのお店をご紹介。

8年熟成 華鳩 貴醸酒(はなはと きじょうしゅ)

シェリー酒やブランディーを思わせる 「華鳩 貴醸酒」を 、シェリー酒のエキスパート、「Angel’s Share」のシンゴさんの技で、空気を含ませた状態のものと、そうでないもの飲み比べセットをバーカウンターでお願いしてみる。同じお酒で2つの味わいを楽しめます。これは、あくまでシンゴさんがいる時しかできないスペシャル感ある古酒の楽しみ方なのでとてもお薦め。

チズコお薦めの日本酒が楽しめるバーカウンターのあるお店

b flat

NYのカリスマバーテンダーShinさんの酒カクテルをぜひ。出刃包丁で作るロックアイスも粋です。
Basement 277 Church St, New York, NY 10013 (Tel: 212-219-2970)

Bohemian

紹介制の隠れ家的なお店なのでぜひ知ってるお友達を見つけてね。

Bar Veloce

人気ワインバーですがお酒もほんの少しあります。ワインバーで楽しむ日本酒というのもNYならでは?
175 Second Avenue, New York, NY 10017 (Tel: 212 260 3200)

蕎麦鳥人

蕎麦鳥人ミクソロジスト幻さんの生み出すヘルシーでジューシーなカクテルは日本酒の新たな世界を広げてくれます。
211 E 43rd St, New York, NY 10017 (Tel: 212-557-8200)

酒蔵 SAKAGURA

NYで酒と言ったらこの店はマスト。200種類以上のお酒のほとんどがテイスティング可能な上、グラス一杯からオーダーできるので自分のテイストを探してみては?
211 E 43rd St, New York, NY 10017 (Tel: 212-953-7253)

Sake Hana

甘いマスクの酒ソムリエToshiさんのサーブで楽しむ日本酒はついついはまっちゃって飲み過ぎ注意です!
265 E. 78th Street, New York, NY 10021 (Tel: 212- 327-0582)

居酒屋 天

チェルシーのギャラリーを散策してから一杯飲むならここ。チェルシーにして充実した酒リストとちょっと懐かしい居酒屋フードはまさにSAKE AND THE CITY!?だ。
207 Tenth Avenue between 22nd & 23rd St., New York, NY 10011 (Tel 212-627-7777)

 


インフォメーション

CHIZUKO NIIKAWA-HELTON
(チズコ・ニイカワ・ヘルトン)
SSI(Sake Service Institute)公認 きき酒師

東京でのファッション業界から単身ニューヨークに。新天地のアメリカで生活するにあたり「何か1つお国自慢できるものを熟知したい!」と思い、地元秋田が世界に誇る「日本酒」を極めることを決意し、日本酒のきき酒師の資格を取得。ニューヨークで最も多くの日本酒を取り揃える人気レストラン「酒蔵」にて、日本酒ソムリエのキャリアをスタート。「世界酒ソムリエコンクール・イーストコースト大会(SSI主催)」にて3位入賞。女性で1位の座に輝く。

日本酒業界どころか、レストラン勤務経験も英語力もゼロのスタートだったが、日本酒に対する情熱、持ち前の明るさで、人気、セールス力ともにNo.1のニューヨークを代表する女性酒ソムリエに成長。2008年8月に、独自のイベントやセールス方法を紹介するためSAKE DISCOVERIES, LLCを設立。日本の日本酒醸造元とともに、1人でも多くの日本酒ファンを増やすべくイベントや少人数制の日本酒講座、レストランサーバートレーニング等実施中。

9月は日本酒イベントシーズン!イベントをより楽しむために、チズコの日本酒講座を受けてから参加してみては?