ハーレムの街角の扉を開くと・・・ベニスへ「Lido」

2011年2月にハーレムにオープンしたばかりのイタリア料理レストラン「Lido」。「Lido」とはイタリア北部にある水の都ベニスの近くにある小さな街の名前。その街のことは知らなくてもこのお店の扉を開けるときっとこんな街だろうと想像ができる。

白を基調とした店内とレンガの壁が地中海の砂浜と家を思わせる。照明は暗めの間接照明により、落ち着いた雰囲気を醸し出しており、ゆったりと食事やおしゃべりを楽しめる雰囲気だ。オーナーのSusannahさんはイタリアの田舎の家に帰ってきたような雰囲気のお店にしたかったという。まさにそのとおりのお店になっている。彼女自身、ハーレムのこのエリアに住んでいて、クオリティーの高いイタリアンレストランのニーズがあると確信していたという。近隣のフーディーズ達にとって、この店はまさしく開発の進むハーレムに先駆けて登場したオアシスといえるだろう。

料理は北イタリア料理で、シンプルで素材を活かした料理をモットーにしているとのこと。たしかにどの料理も新鮮さがとても際立っていた。素材を生かす料理のために、素材に徹底的にこだわっているとのこと。野菜は可能な限りオーガニック素材を用い、肉もオーガニック飼料で広い場所で育てられた肉を用い、シーフードは一本釣りや素潜りによって捕られたものしか用いないというこだわりようだ。

シェフのPierreさんは、定評のある、Park Avenue Café 、River Café 、Paradise Caféで繊細なアメリカン料理やイタリア料理の腕を振るっていたという。この新しいお店では、その繊細さと独創性にますます磨きがかかっているようだ。

Assaggini (アッサジーニ、小皿料理)で人気なのは「Crostino /ロスティーノ」(フランス料理のカナッペ)。8種類のバラエティーを揃える。お勧めのひとつは、カリカリにトーストしたパンの上にフレッシュな焼きミニトマトの乗ったlemon roasted cherry tomato。もうひとつは新ぷりぷり小エビの載ったRock Shrimp & Seasalt。どちらもとても新鮮で香ばしいトーストとその上に塗られたバターがより一層食欲を掻き立ててくれる。前菜のホワイトポレンタとマッシュルームラグーの一品は、熱々の鉄板で登場。ポレンタ(とうもろこしの一種)の団子、マッシュルームとまいたけ、その上に白トリュフがたっぷり。とろとろソースがよく食材にからみ、とてもおいしい。トリュフの香りがとても香ばしい一品だ。また、タコのグリルとポテト添えは、グリルされたタコが香ばしく、弾力が強く新鮮さをダイレクトに感じられる。細く切られた野菜がビネガーのほんの少しの酸味とオリーブソースによく絡まるようになっており、シェフの繊細な設計が伺える。

メインで注目したいのはシーバスのグリル。大胆にグリルされているので、香ばしさが際立ち、身は新鮮でぷりぷりしている。オニオンやカイワレ大根にオリーブソースがよく絡み、スズキの身と相性が抜群。背骨が取り除かれておりシェフの気遣いが感じられる。パスタ料理も丁寧に作られ、中でもニョッキは、程よい湯で加減で用意され、濃厚なトリュフバターがたっぷりからみ、イタリアの田舎家庭の感じがする。とても贅沢でおいしいパスタだ。

デザートはLido’s Tiramisu 。ふんわりティラミスのスポンジにはほんのりブランディーの香りがする。甘すぎず大人な味なため、食事の後でもすんなり頂けてしまう。また、ホームメイドのアップルタルトもお勧め。生地がサクサクで、こちらも甘すぎずとてもすがすがしいデザートだ。

これだけ本格的なイタリアンを楽しめるのに、店の雰囲気がとてもアットホームな感じなのが良い。バーカウンターもあるため、一人でも楽しめる。テーブル席は20席、40~80人は利用できるので、パーティーでも楽しめそうだ。ハーレムで本格イタリアンを気軽に楽しみたい方に是非お勧めのお店だ。

Text By Masahiro Higuchi

 


Lido

2168 Frederick Douglass Blvd (8th Avenue) @ 117th Street,
Harlem, New York
Phone: 646-490-8575

http://lidoharlem.com/