フラッシングに登場!本格焼き鳥居酒屋「羽八」

中華街が広がるクィーンズ区フラッシング。所狭しと店が立ち並びいつも大勢の人で賑わっているMain streetの北角に、シックなたたずまいの日本食居酒屋レストラン、羽八がオープンした。1階はバーとカラオケ、2階がレストランになっている。店内に足を踏み入れると店員さんが爽やかな声で「いらっしゃいませ~」と日本語で出迎えてくれる。店員に導かれ奥に進むと、驚かされるのが壁一面に飾られた日本の地酒。有名な銘柄からレアな銘柄まで、色とりどりのカラフルな瓶がディスプレイされており見ているだけで楽しくなる。

テーブルや椅子を含め店内は木製で統一されているので落ち着いた雰囲気を感じる。しかし、窓側の壁はレンガがむき出しになっていてモダンさも感じさせてくれる。6人がけのテーブルが8セットあり、10人がけのテーブルが2セットある。通路スペースも広々としたレイアウトになっている。2人でも広々とした6人がけのテーブルで食事ができるのがうれしい。焼き場の前にはカウンター席もあり、焼き鳥好きにも納得のレイアウトだ。

オーナーのスティーブ氏は、マンハッタンのレストランで4年間ウェイターとして働きながら、自分の理想のレストランのイメージを膨らませてきた。ゆったりとして落ち着いた雰囲気で食事が楽しめ、しかも、肩張らず、リーズナブルな価格で若者でも気軽に入れる店を出したいと考えた。そのイメージにぴったりの料理が日本の居酒屋スタイル。しかも本格的な焼き鳥と日本酒を楽しめる場所するというコンセプトに行き着いたそうだ。

オーナーの夢の実現のためにプロデュースを担当したのは、ニューヨークで数々のレストランのコンサルティングを手がけてきたA&K Restaurant Consultants の篠木氏。レストランのコンセプトから、インテリア、厨房設計、料理に至るまでオーナーと二人三脚で夢を形にした。

オーナーのコンセプトをもとに、篠木氏が考案した居酒屋料理のメニューは、値段も味も満足いくものばかり。定番のポテトサラダ。粗く刻まれた人参とポテトがどこかなつかしく、前菜にぴったりだ。黒ゴマがたっぷり入った特製ゴマドレッシングをかけていただく羽八サラダはたっぷりかかっている大きな花鰹節とゴマのさわやかな香りに食欲がそそられる。

手羽先は、たっぷりな肉厚の骨付きチキンを甘辛いタレ仕上げており、やわらかくジューシーだ。食べ応え十分な一品だ。日本酒が思わずすすんでしまう。また、懐かしい味のビーフコロッケ。外はカリカリで中はホクホクのジャガイモと肉もお勧めの一品。

居酒屋で外せないのはやっぱりホッケ焼。もちろんメニューに取り揃えてある。大きなホッケのグリル加減が絶妙で塩加減もちょうど良い。大根おろしとしょうゆがついている心遣いがうれしい。

少し珍しい鍋の特製羽八鍋もおもしろい。あっさり鶏がらスープにニラ、鳥つくね、鳥肉がたっぷり入った鍋で、鷹の爪のアクセントが食欲をより一層そそる。日本ではなかなか味わえない、日本の鍋と中国の鍋が融合したような鍋になっていてとてもおいしい鍋だ。

メニューの中心はもちろん焼き鳥。定番の鳥肉に加え、豚、牛、シーフード、さらに野菜のメニューが充実しているものうれしい。焼き鳥には重要なタレが、白おに(ねぎと天然塩)、赤おに(七味とみそ)、黒おに(特性タレ)と表現されているのもおもしろい。価格が1本$2からと、とてもリーズナブルで気兼ねなく注文できる。

オーナーのスティーブ氏に、おすすめの日本酒を聞いたところ、「焼き鳥にお勧めの日本酒は大七」とのこと。焼き鳥の甘辛さに大七のフルーティーでコクがありながらもさっぱりとした味わいが驚くほどよく合う。思わずニューヨークにいることを忘れてしまう。

日本酒は厳選された19種類の中から選べるそうだ。日本の居酒屋でもこれだけ日本酒の種類が充実しているところは珍しい。それもそのはず。ニューヨークで活躍中、日本酒ソムリエ、「酒ディスカバリーズ」ちずこさんがアドバイザーを担当。彼女が厳選した地酒とあって、スティーブ氏も自信を持ってお客様に日本酒を勧める。

ゆったりとした居酒屋で本格的な焼き鳥と厳選された日本酒が味わえる羽八。若いアジア人が日本酒を楽しんでいる様子を見ると、店の名前のようにフラッシングから新しいトレンドが生まれて羽ばたいて行きそうな予感を感じずにはいられない。

Text by Masahiro Higuchi

 


羽八

1538 2nd Ave, New York, NY 10075
Phone: 212-717-8226
http://www.nyctacos.com