セレブにも人気のメキシコ料理店が新しく3店舗目をオープンした。新店舗のロケーションとして彼らが選んだ場所はウィリアムズバーグ。マンハッタンからブルックリンに入り一つ目の駅であるBedford Avenueは、ウィリアムズバーグの中でも最も若者で賑わうエリアだ。駅から少し離れたところでは、新しいコンドミニアムの建設も進んでいる。
ニック・セルベラとルーペ・エリサルデ夫婦によるこの本場メキシカンレストラン「Mole」。4月にオープンしたこの新店舗もすでに活気で満ちあふれている。店内に入るとラテン音楽とともに、明るいスタッフ達が迎えてくれる。
シェフは妻であるLupeさん。小さい頃に母や祖母から学んだ調理法を受け継ぎ、約20年間その味をニューヨーカーに提供し続けている。彼女の元で働くシェフは少なくとも3年、Lupeさんによる徹底的な指導があるそうだ。マネージャーも「シェフは皆誇りを持って働いています」と語る。
まず、メキシコといえばテキーラ。食事と共にこの店自慢のマルガリータをぜひ味わってほしい。フレーバーはパイナップル、マンゴー、ココナッツなど6種類。トロピカルなハイビスカスのマルガリータはさわやかで飲みやすく、これからの季節にぴったりだ。この他にもカクテルメニューは豊富。同じくテキーラベースの「Diablo」はチリパウダーの辛みがアクセントとなった大人なカクテルだ。
カクテルとともに注文したい前菜はメキシコ料理の定番メニュー「Guacamole」。テーブルで仕上げてくれるので、自分好みの辛さに作ってもらえる。新鮮なシーフードを使った「Ceviche De camaron」もおすすめの一品。エビやタコ、トマトなどがライムジュースでマリネされたシーフードカクテルだ。「Tostada de Ostada de Tinga」はメキシコでよく食べられるというストリートフード。スパイシーな豚肉がさくさくなトルティーヤにサンドされている。また、かすかな苦みを持つブラックマッシュルームとクリーミーなポブラノソースのバランスがちょうど良い 「Crepas Con Huitlacoche」は濃くのある一品。
スパイシーでしっかりとした味付けの多いメキシコ料理。お口直しにぴったりの一品は「Sopa De Elote」。優しく、どこか懐かしさも感じられるスープだ。
メイン料理の定番であるタコス。「Baja Style Shrimp or Fish Tacos」は人気の一品で、スタッフも一番のお気に入りと絶賛。ブルーコーンから作られるトルティーヤの上には具材がボリューミーに盛りつけられ、クリーミーな2種類のソースにつけて頂く。ベジタリアンメニューも豊富で、勿論タコスにもベジタリアン向けを用意する。ほうれん草やマッシュルームがのった「Vegetarian Tacos」はシンプルであっさりとした味わい。
そしてぜひ食べて頂きたいおすすめが「Enchiradas De “Mole Poblano”」。店名にもなっているMoleソースを使った一品だ。チョコレートや数種類のスパイスから作られるMoleソース。チョコレートソースといっても甘さはほとんどなく、かすかにカカオの香ばしさが感じられる。その味はどことなく味噌のようで、チキンとの相性は抜群だ。このソース、なんとメキシコに住むルーペさんのお母さんによって作られ直接送られてくるそうだ。使われる食材もほとんどメキシコから仕入れているという事からも、シェフのこだわりが感じられる。
どの料理も大皿でたっぷり。お腹はいっぱいかもしれないがデザートを食べないとメキシコ料理は終われない。一番人気の「Flan」はどんなに満腹でも試してもらいたい一品。スプーンが通らないくらい重く濃厚なプリン、ほろ苦いカラメルと軽いホイップクリームがアクセントとなり、絶妙なバランスを作り出している。どっしりとしていながらも、ありがちな甘さのきついフランとは違いとても食べ易い。シナモンが効いた甘めのcoffeeと共に頂けば最高なディナーの締めくくりとなるだろう。
オーナーであるニックさんがこだわったという店内は、木のぬくもりが感じられる内装 。陽気な音楽とは対照的にキャンドルの光が落ち着きを醸し出し、ついつい長居してしまいそうな雰囲気だ。カップルや友達、家族での利用はもちろんだが、ひとりでバーを利用している人の姿も見られた。同じメニューが楽しめる事もあり、立ち寄りやすいのではないだろうか。マンハッタンの喧噪から少し離れた場所で、家庭的なメキシコ料理を楽しんでみてはいかがだろうか。
Mole (Williamsburg)
178 Kent Avenue, Brooklyn 11211
Phone: 212-717-8226
www.molenyc.com
