日本酒の底知れぬ魅力を引き出すジャパニーズガストロラウンジ 「Sakamai」


メニューはさほど多くないものの品質の高い料理を出すパブを「ガストロパブ」と呼び、お酒も食事も楽しめるお店としてニューヨークでも親しまれている。そんなガストロパブのイメージを持ち合わせ、日本酒の新しい魅力を伝える「ジャパニーズガストロラウンジ」をコンセプトにした「SAKAMAI/酒舞」がローワーイーストサイドにオーブンした。

世界各国で日本酒の認知度は高まりつつあり、ニューヨークでも寿司、居酒屋などに代表される日本食レストランで日本全国のいろいろな日本酒が楽しめるまでとなった。通常日本酒は、和食と組み合わせて楽しまれることが多いが、ここ酒舞では新しいコンセプトで日本酒を紹介する。和食の隣にある日本酒では無く、日本酒を引き立てる美味しい料理を自由な発想で考案し日本酒と合わせる。そうすることにより、今までには無い日本酒の魅力を引き出すことができるのではないか、という発想から生まれたのがこのお店なのだ。言うまでも無く日本酒のラインナップは充実しており、誰でも一度は聞いたことがある有名銘柄の日本酒から、品質にこだわる地方も逸品まで60種類以上の日本酒を楽しむことができる。また、「Sake Flights」と呼ばれる日本酒の飲み比べセットでは、同じ蔵の違うお酒、熱燗にしたときの飲み比べ、生原酒、にごり酒、特定地方などの飲み比べが楽しめる。料理との相性など、自分だけの好みを見つけるのも面白い。

オーナーの一人であるナタリーさんも長年日本酒に魅了されてきた。大学では建築を学び、卒業後はそのまま建築業界に入るはずだった。しかし、心の中でひとつの疑問が浮かび上がった。「このまま建築会社に就職して、室内で設計図を描く人生でいいのか?」。後にビジネスパートナーとなるターナー氏と、大好きな日本酒を飲みながら一晩中語り合い、酒舞の構想が出来上がった。幸運なことに良きパートナーに恵まれ、料理、日本酒、カクテル、マネジメントなど、それぞれの業界からドリームチームといえるほどのメンバーが集結した。個人がそれぞれの夢を持ちながらも、酒舞の構想に賛同し、共に手をとり合い歩き始めた。

ローワーイーストサイドが持つラスティックなイメージと発展を続けるエネルギーが詰まった店内には、お客様のさまざまなニーズに応えるために5つのスペースが用意されている。テイスティングカウンターは、スタンディングでちょっと日本酒を飲みたい方のために、また、テーブルスペースはカップルや友達で腰をおろして会話を楽しむために、そしてサロンでは暖炉の炎に揺られながらゆったりとした時間が流れる時を過ごすために最適だ。そしてバーラウンジではバーテンダーによるカクテルを、シェフズメザニーではシェフ特製の料理をそれぞれ堪能できる。尚、サロンとシェフズメザニーでは、日本酒と料理のペアリングも楽しめる。

バーラウンジでは、和をモチーフにしたさまざまな酒舞のオリジナルカクテルが楽しめる。カクテルには趣き深い漢字の和名がついておりミクソロジストの思いが伝わってくる。梅干を使ったカクテル「灰桜(Haizakura)」、芋焼酎ベースのピニャコラーダ「金糸雀(Kanaria)」など様々なメニューを用意する。中でも注目なのが、和の素材がふんだんに使われた「利休(Rikyu)」はグラスの縁に黒蜜ときな粉がついた抹茶のカクテルだ。この一品はドリームチームの一員であるミクソロジストの後閑信吾氏が「Bacardi Global Legacy Cocktail Competition 2012」で優勝したときの作品だ。和の素材を使用した世界最高のカクテルが酒舞でご賞味頂けるのは嬉しい。

酒舞は「料理は日本酒の魅力を引き出すもの」というコンセプトを軸に運営されている。つまり日本酒の美味しさを活かすのも殺すも料理次第。ガストロパブという雰囲気の店であるにも関わらず、料理の美味しさはどこにも引けをとらない、というのも酒舞の魅力の一つだ。ニューヨークで多くのファンを持つエグゼクティブシェフ、秋山氏の味に惹かれて店を訪れるお客様も多い。

秋山シェフが作るメニューにはニューヨーカーを魅了するアイテムが揃う。「Snacks」のメニューで出される「Skate Wing(エイヒレ)」は、程よく炙られたエイヒレに柚子胡椒とヨーグルトで作ったディップが添えられる一品。表面はカリッとしながらも、ふわふわとした柔らかな食感のエイヒレがディップの味に溶け合う。「Sashimi-Crudo」のメニューからのお薦めは「Oyster Trio」。あらかじめ牡蠣の上に3種類のトッピングが乗せられている。塩、しょうゆなどご自身での味付けはせず、シェフ特性のトッピングだけで牡蠣の美味しさを堪能頂きたい。「Small Plates」のおすすめは「Egg on Egg on Egg」。ウニとキャビアのスクランブルエッグ。秋山シェフの顔とも言える料理であり、これまでにも多くのファンを魅了してきた。この料理を目当てに来る客も多い。そして最後に「Large Plate」のおすすめは、「l.e.s.STEAK。」一般的なステーキ肉の熟成は長くても28日。しかし、この料理は35日間熟成したリブアイを使用。牛肉の旨みにとことん追求した一品であり、ニューヨークの数ある有名ステーキ店にも負けない最高に美味しいステーキだ。

日本酒の魅力を引き出す料理の役割は極めて重要であり、今後もお客様のニーズに合わせてさまざまな料理が生み出されることだろう。もう一度食べてみたい定番メニューの「安心感」と、どんな料理が飛び出すのかという「ドキドキ感」、両方を楽しめるこの店からは、これからも目が離せない。

ニューヨークの食業界で20年の経験を持つジェネラルマネージャーの鈴木氏は、「日本酒ほど人の手を必要とするお酒は無く、それゆえに日本酒の作り手である蔵人の表情・人の手の温かさ、日本酒が作られているその土地の風情も伝えたい」と語る。彼の今までの豊富な経験と日本酒に対する情熱が、日本酒を提供する最高の舞台を作り出した。これまでの和食の隣の日本酒ではなく、世界中の料理が集まるニューヨークで、「ジャパニーズガストロラウンジ」という新たなコンセプトの元に生まれた酒舞。日本酒が世界に向けて新たな一歩を踏み出した瞬間ではないだろうか?


SAKAMAI

157 Ludlow St New York, NY 10002
Phone: 646-590-0684
http://sakamai.com