ラーメンのプロがプロデュースする「Ramen Lab」

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小さなブティックや雑貨店がひしめくノリータに、黒でシックな看板を掲げた店が登場した。今、ニューヨークで最も注目集めるラーメン屋、Ramen Labだ。ニューヨークでレストランをオープンするには誰もが経験する諸々の許可書申請審査の遅れのためオープン予定日は変更に次ぐ変更。遂に2015年1月ニューヨークのラーメンファンが待ちに待ったオープンを迎えた。

ガラス扉の向こうには、14人が一度に並ぶことが出来る立ち食いカウンター、そしてそのカウンターの目の前には厨房。お客様は、自分のラーメンが作られる全ての工程を目の当たりにできる。立ち食いのスタイルで、作り手から熱々のラーメンが直接目の前に出されるという日本では当たり前のラーメン屋をここニューヨークで実現させたのが、ラーメンのプロ中村栄利氏と製麺会社のSun Noodleだ。

中村氏は、弱冠22歳にして神奈川県海老名市に「中村屋」をオープンした。天才とよばれメディアからも大注目を浴び、また、 オリジナルスープの研究に没頭 していたラーメンマニア。著書に「髄道(DASHIDO)」 、「らーめん中村屋のスープストックでつくる家族ごはん」などもある。中村屋のほかに、日本では長野県の昼神温泉郷で屋台ラーメンの復活のため移動式のキャラバンを出店するなど数多くの活動を行ったのち、2009年に念願の海外店舗をロサンゼルスで初プロデュース。これを皮切りに、アメリカでのラーメン文化普及を志し、現在アメリカを拠点としてラーメンのコンサルタント、食のイベントでのラーメン紹介等様々な活動を行っている。

アメリカの製麺会社最大手のSun Noodle 社(代表取締役社長夘木栄人)は、1981年 ハワイで創設。その後、ロサンゼルス、ニュージャージーに工場設立。現在約100種類の麺を提供し、1日9万食を生産している。北米でのラーメンの広がりを最もリアルタイムで感じていた同社は、商品提供と共に、ラーメン文化の成長にも貢献する必要があるという思いから、東海岸のSun Noodleの責任者、ゼネラルマネージャーの夘木健士郎氏と中村氏がタッグを組み、アメリカにおけるラーメンの啓蒙活動を始めた。まず初めにニュージャージーで展開していた「Ramen Lab」は、 ラーメンを作る側への教育を行う場として機能していたが、今回、食べる側への教育をメインとした場も作りたいという思いからSOHOにオープンしたのだ。

Ramen Labは 通常のラーメン屋と何が異なるのか?それは、飲食店だけではなく、ラーメンに関する教育の場でもあるとしている点だ。といっても、授業のように教えるのではなく、ラーメンの世界観をショーとして楽しんでもらうというスタンス。 ラーメンの作り手が目の前で麺をほぐし、茹で、オーダーが入ってから丁寧にネギとチャーシューをカットする。中村氏が厨房に立てば、彼の「天空落とし」も間近で見ることができる。興味津々のニューヨーカーも、どんどん質問を投げかけてくる。奥の厨房で作られたラーメンがサーバーからテーブルに運ばれてくるラーメン屋では全く体験できないことだ。「私はラーメンマニアをどんどん増やしたいのです。」という中村氏。ラーメンマニアは、美味しいラーメン探しに始まり、その情報を友達と共有し、その後自分でラーメン店開業の夢も抱く人もいる。まさにマニアがラーメン業界の発展の原動力となるのだ。

ラーメンのメニューは、鶏ガラ醤油ラーメンと味噌ラーメンの二つ。醤油と鶏ガラが見事に調和し、互いの味わいが引き立せ、ニューヨークではなかなか味わうことのできない素晴らしい醤油ラーメン。トッピングも昔ながらのラーメンらしく、チャーシュー・ねぎ・海苔・メンマ・ほうれん草というシンプなもの。味噌ラーメンは、ピリ辛の特製合わせ味噌ともやしがのっている。麺とスープがしっかりと絡み合い、一度口に入れると、フィニッシュまで箸が止まらない。

ニューヨークでは味の濃い豚骨ラーメンが人気だが、あえてパンチの効いた豚骨ではなく、味のバランスを重視したラーメンを提供している中村氏。麺、スープ、トッピングにはそれぞれの役割があり、その絶妙なバランスが、美味しいラーメンの秘訣なのだ。アメリカ人の好みに合うような料理の味や見た目にするのではなく、日本のラーメン文化を実際に体験してもらう。予約なしで並んでお店に入り、 立ち食いスタイルで、厨房の動きを見ながら手際よく、素早く作られるラーメンをささっと食べる。ラーメンの世界観を体験してもらい、楽しんでほしいという中村氏の考えが実現できるようになったのも、ラーメンマニア予備軍がニューヨークに多く存在している証であろう。

実際にラーメンマニアが既に中村氏のもとで修行を始めている。David Forster氏だ。ニュージャージーで生まれ、幼少期をニューヨークで過ごした後、 両親の仕事の関係で6歳から18歳まで東京で過ごす。その後大学に通うためアメリカへ帰郷。しかし日本のラーメンの魅力を広めたいという気持ちを抑えきれず、大学卒業後にラーメンのリサーチを始めSun Noodle社のことを知る。タイミングと縁に恵まれ今回Ramen Labへの参加に至った。彼も将来は自身の店を出すことが目標だ。調理だけでなく、 英語でのラーメンの説明なども率先して行う。 彼のラーメンに対する情熱と料理のセンスは中村氏も一目を置いており、今後アメリカのラーメン業界を引っ張って行く期待の逸材だ。

今後ますます全米広がりを見せるであろうラーメン。日本のラーメン文化そのままを提供するお店、創造的な新しいスタイルのお店などいろいろなタイプのラーメンが今後産まれてくることは間違いない。5年後、10年後、全米でどれだけラーメンマニアが増えているか、とても楽しみだ。


Ramen Lab
70 Kenmare Street, New York, NY 10012
Phone: 646-613-7522
http://www.ramen-lab.com/#experience