「Bonsai Kakigōri」オーナー Gaston Becherano/ガストン・ベチェラノ

「Bonsai Kakigōri」というブランド名のカラフルなかき氷を初めて見たのは2年前の2018年、ブルックリンで春から秋まで毎週末開催されている全米でナンバー1のフードフリーマーケット「スモーガスバーグ」。「Kakigōri」と書いてあったので、日本人の人のお店かな?と思いきや、 その仕掛け人はアメリカ人青年のガストンだった。なぜ彼がかき氷屋を始めたのか?そんな素朴な疑問をきっかけに、話を聞かせてもらった。


ガストンのきっかけ

ガストンはメキシコ生まれ。7歳までメキシコで育ち、その後アメリカのフロリダ州に移る。大学はマサチューセッツ州にあるタフツ大学に進学。そこでは経済学と国際関係学を学んだ。大学卒業後は、IBMでの仕事が決まり、ニューヨークへ移り住むことになった。

就職先も決まり、入社まで数ヶ月時間があったガストンは、仕事が始まる前に海外に行きたいと思い、東南アジア諸国を周り、特に興味のあった日本で数ヶ月過ごすことにした。日本滞在中は全国各地を訪れ、日本食や文化を体験。その際に彼が見つけた楽しみの1つが、喫茶店巡りだった。

彼が立ち寄った喫茶店の多くは、常連客に支えられた地域に密着した個人店。お客様に対するおもてなしの心、シンプルだけど美味しい食べ物や飲み物に強い感動を覚えた。滞在期間が夏ということもあり美味しいかき氷も沢山食べたという。

日本からニューヨークに戻り、予定通りIBMに入社。彼の社会人としての生活が始まった。

「Bonsai Kakigōri」の登場

仕事にも慣れてきたが、働いているうちにこの会社は自分の居場所ではない、そしてやりたい事ではないと思うように。他人から見れば、理想的な大企業への入社だったが、ガストンの心の中で、飲食店、ホスピタリティーの分野で仕事がしたい、それが自分が一番好きな事、やりたい事なのだと強く思うようなり、彼は会社を辞めた。

日本で行った喫茶店のようなお店がニューヨークにないと思い、それならば自らが喫茶店コンセプトのお店をできないかと考えるようになった。そして実際のお店をオープンする前に、まずはかき氷メニューから確立しようとそちらから着手したのだ。

名前の由来を聞いてみたところ、「盆栽」は、花を植え育てるというものとは違い、手入れや管理方法にも留意し、剪定で樹形作りを行う 。その盆栽のように、盛り付けや味付けを駆使して、ユニークで独創的なかき氷を創作しようと考えBonsai (盆栽)Kakigōriと名付けたのだ。

ガストンがBonsai Kakigōriを立ち上げてすぐに、キャナルストリートマーケットでのポップアップ出店が決まり、それと同時にブルックリンのスモーガスバーグへの出店も決まった。

ガストンの思い

ガストンの飲食店のオーナーになりたいという思いを、行動に移させた日本での喫茶店体験。自分は日本人でもないし、日本の喫茶店と全く同じものを創ることはできない。ただ、日本の喫茶店で体験した おもてなしの心、地域密着型のコミュニティーとの一体感を感じられるお店を作りたいというビジョンを持ち、2019年4月ローワーイーストサイドにお店をオープンした。ここでは、かき氷だけではなく、コーヒー、抹茶、サンドイッチなども販売している。

ガストンがBonsai Kakigōriを始めて学んだこと、そしてこれからも一番の課題になり続けるであろうと思うことは、信頼できる スタッフの確保。人材が必要になり焦ってしまった結果、うまくいかなかったことも多かったというガストン。その経験から自らが面接をしっかり行い、会社にとって貴重な人材は常によい関係を保つように心がけているとのこと。

ガストンのように若くしてこれからなにか新しいことにチャレンジしたい人へのアドバイスは?と聞いたところ、人によって状況も違い、やりたいことも違うから、みんなにあてはまるアドバイスというのは難しいが 、自分の場合は、自分が興味のない事に一生懸命従事し良い仕事をするということはとても難しいことだった。みんながみんな自分で会社を始めればいいというものではないし、自分にあっていない仕事だったら、仕事や会社を変えてみるというのもありだと思う。やりたいことがあれば小規模でもいいから始めてみるのもいいのではないだろうか。自分で勉強したり、人に聞いたり、ネットワークを増やしたり。必ず道は開けるはずと話してくれた。


日本の喫茶店に影響を受け、Bonsai Kakigōriで起業したガストン。お客様に喜んでもらえる店作りのため、自ら最高お茶を求めて日本各地を周り、 常に新しいメニューをスタッフと一緒に考え、今後はリカーライセンスを取得し、ビール、ワイン、日本酒もお店で提供しドリンクメニューも充実させていくとのここと。

ニューヨークにはチャレンジ精神を持ち 、失敗を恐れず自分のやりたいことを見つけたら挑戦してみるという人が多い。ローワーイーストサイドで皆に愛されるお店作りに向け、情熱いっぱいに喫茶店作りに励むガストンをこれからも応援したい。

インタビュー Kazuko Nagao
https://www.instagram.com/kazuko_pecopeco/


Bonsai Kakigōri
100 Stanton St, New York, NY 10002
646-308-1244
https://www.bonsaikakigori.com/100-stanton-st