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自由を手に入れたカリスマフードファイター。気持ち新たにニューヨークを食べ尽くす!

フードファイター、小林尊。2001年から2006年の間ネーサンズホットドッグ大食い大会では前人未到の6連覇を達成。アメリカのコンペティティブ・イーター(大食いファイター)のレベルの向上、そして大食い大会の新しいエンターテイメントとしての地位確立に大きく貢献した。その後の3年間は顎の故障というハンデを背負いながらもファンの期待に応え全力でホットドッグ大食い大会に参戦。1位になれずとも、常に白熱した接戦を繰り広げてきた。2010年からは拠点をニューヨークに移し、新たに活動をスタート。その矢先、ネイサンズ・ホットドック大食い大会への不参加、逮捕といった波瀾万丈のドラマを繰り広げる。無罪判決を受け、晴れて自由を手に入れた小林尊。このカリスマフードファイターが今の心境、そして彼にとってのニューヨークを語ってくれた。

ネーサンズ・ホットドッグについて

PECOPECO!: 今の心境をお聞かせください。
KOBAYASHI: ステージに登った時は凄い興奮状態でした。今こうやって、インタビューを受けているのは自分が普通で、あの時の自分が自分じゃないような気がします。今まで我慢してきた団体との契約内容についてなど、無意識のうちにメッセージとして何かを伝えたかったんだと思います。今はいろんな意味で自由になって、本当にリラックスできるようになりました。
PECOPECO!: 今回の逮捕の結果は無罪という形で落ち着きましたが、判決を待っている間に不安はありましたか?
KOBAYASHI: もちろん不安はありました。またこの件に関して、沢山の方にご心配かけました。 でも裁判の結果がものすごく悪くなるとは思っていなかったし、そうならないと考えるようにしてました。
PECOPECO!: 誰もが知りたい事だと思うのですが、当日はどうしてステージに上がったのですか?
KOBAYASHI: 状況を知らないセキュリティーの人が「小林だから、ステージに上がっていいよ」と言われ、ステージに誘導してくれたんです。最初はステージに上がるつもりは全くありませんでした。「ステージに昇れ」という声援があって… もしかして、それに応えて登ったら今回大食い大会に出られなかったけど、なにか変わるかもしれないという期待はありました。それでステージに登ったら押さえつけられてしまったわけです。
PECOPECO!: 残念ながら、ネーサンズホットドッグ大食い大会への記念すべき10回目の挑戦は達成できませんでしたが、この10年間のきっかけとなった初出場の時の思い出をお聞かせ下さい。
KOBAYASHI: 2001年に来た時は、ニューヨークもアメリカも初めてでした。到着した翌日にすぐ試合でしたよ。当時のチャンピオンも日本人で荒井さんという方だったのですが、僕はノーマークで誰にも相手にされませんでした。23歳で若かったのもあって全くの子供扱いでしたね。(笑)コンテストが始まって3分が経過したあたりで、僕は当時の世界記録の25本を食べました。その瞬間にカメラが一斉に自分の方に向いて…食べている時にその変化を目の当たりにしました。あの時の経験はとても貴重な体験ですね。 人の考え方、価値観を変えた瞬間だなと凄く感じました。僕の記録は、人間が頑張れば食べられると言われていた30本という本数を超えましたから、観客も「そんな食べるはずがない」という驚きの表情でした。ホットドッグを数える数字プレートも30ぐらいまでしかなかったんですよ。司会者ですら、僕があまりに食べるのを見て、「本当にありえるのか?」という表情で首をかしげてましたね。
PECOPECO!: 初優勝後の感想は?
KOBAYASHI: 僕自身が信じられなかったですね。今迄アメリカのホットドッグを食べた事がなかったので、いくら日本で練習しても実際どれだけ食べられるか自分でも未知の世界でした。だから勝てるとしたら当時のチャンピオンより5本ぐらい多く食べられればいいかなと思っていました。そしたら前年の記録の2倍という成績。自分でもびっくりしました。 当日、気候が寒いと感じましたけど、実際は涼しくてよかったんだと思います。体調も良好で、終わっても「まだ食べられる」って感じていましたね。
PECOPECO!: その後は6連覇。前人未到の記録を残して、ホットドッグ大食い大会の代名詞とまでなった小林さんですが、大会に出られなかったことについてはどうお考えですか?
KOBAYASHI: 実は数年に渡り、契約の事では弁護士を通じで交渉をしていました。こちらはかなり譲歩したにも関わらず、残念ながら契約内容の合意には達しませんでした。今までこちらもかなり折れてきていましたし、今回の契約更新だけは、出場できなくても自分の信念を貫こうと思ったので、なにも後悔していません。むしろ制約がなくなった分、これから自由に自分の意思で色々な事にチャレンジできるのでよかったと思っています。いろいろなオファーを頂いていて、これから益々忙しくなります。

ニューヨークについて

PECOPECO!: ニューヨークにという街に拠点を移した理由は何ですか?
KOBAYASHI: ニューヨークはとてもバランスのとれている街です。開放感がありながらも、生活している人は厳しく戦っている。いろんなプロフェッショナルが集まる街。多人種、多文化が混じり合ってなにか可能性を感じる事の出来る、大きなエネルギーをくれる街だからここにやって来ました。日本で大食いのプロになると決めた時に、「なんでそんなことを(大食い)を仕事にするの?」って言われたんです。でもアメリカでは、日本と同じことをやっているのに、「こいつおもしろい」「めちゃくちゃ食ったぞ!」と興味を持ってもらえました。そこに凄い可能性を感じましたね。新しい物を受け入れる環境がある。多民族が共存して、いろんな価値観が存在しているので1つの考えが否定されにくい場所。新しいこと、人とは違う事にチャレンジしやすい街だと思います。
PECOPECO!: ニューヨークにやって目的は?今後の目標を教えてください。
KOBAYASHI: 「大食い」の仕事もそうですが、食文化に関わって、「食」を通じて日本とアメリカをつなげたいと考えています。飲食ビジネスには大変興味があります。レストランビジネスもやりたいし、自分のオリジナル食品ブランドを立ち上げたり、やりたい事は沢山あります。「大食い」は、スポーツにも、そしてエンターテイメントにもなりうる競技です。自分がテレビに出て食べるということで、その食べている物に興味をもってもらえればいいと考えています。もちろんスポーツとしてのイメージは確立していきたいです。アスリートとしてのスキルをテレビの中で披露したり、エキシビションマッチに出たり、いろいろな方法で観客に喜んでもらえると思います。

ニューヨークの食について

PECOPECO!: NYの好きな食べ物は?
KOBAYASHI: ベーグルは好きですね。初めてNYに来た年から好きで食べ続けています。味もテクスチャーも好きです。あとは、ステーキも好きですよ。それと、ハンバーガーとか…ニューヨークは肉料理が美味しいですよね。
PECOPECO!: 日本にあって、ニューヨーク無いもので、あればいいなと思う食べものは何ですか?
KOBAYASHI: アメリカはマヨネーズが美味しくない。日本のマヨネーズは美味しいですよね。もっと大きく普及すればいいなー。
PECOPECO!: お気に入りのレストランはどこ?
KOBAYASHI: 「ウェストビル」というカフェに週に2回は足を運びます。

ニューヨークについて

ホットドッグ:
これは定番ですが、バンズとソーセージは分けて、先にソーセージを2本一緒に食べます。その後パンですね。水も飲みます。
ピザ:
たたみます。最初に柔らかいところを食べて最後に固いところを食べますね!
バーガー:
大きいハンバーガーはまわしながら食べますね。形が偏るとくずれるので、整えながら食べる意味でもまわしながら食べます。
ベーグル:
半分にしますね。そして、口の中に入る大きさにして、噛みちぎって水と一緒に飲み込みます。顎がわるいので…。
カップケーキ:
このサイズだったら、口にそのまま入れて水で流し込みます。
カレーライス:
最初に大食いをした思い出の食べ物ですね。業界でカレーは「水物」と呼ばれていて、流し込みますね。このようなカツカレーの場合、トッピングをよけて、ご飯とカレーを食べて最後にカツを食べますね。

最後にフリーランス後、初の試合について

PECOPECO!: 今回カナダで開催されるピザの大会では、ニューヨークのゴーゴーカレーの大食いで優勝したピート氏と対決ですが。
KOBAYASHI: ピザを食べるのには顎の力をかなり使います。彼は顎の筋肉が強いので噛む力があります。なので最初の5分は強いと思いますよ。でも自分は顎を故障したこともあるので、顎の力には頼りません。だから、後半でも顎の疲れがない。いい勝負になると思います。フリーになって初めての試合なので絶対勝たないといけないですよね。
★取材後に8月22日にカナダで開催されたこのピザの大食い大会。小林君は対抗馬ピート氏にピザ11枚の差をつけて見事に優勝。フリーランス後、初戦にして初優勝の栄光を手に入れた。
<PECOPECO!編集後記:
インタビュアー
PECOPECO!編集長 長尾和子>

インタビューの待ち合わせ場所に笑顔で現れた小林君。清々しい顔でPECOPECO!のインタビューに応じてくれました。これからの新しいチャレンジを目前にして、夢と希望に満ち溢れている彼の顔には全くの迷いもありませんでした。誰にも邪魔されず将来の目標に向け、ニューヨークでそして世界で活躍していく本当の第一歩を踏み出すことができるという期待に胸を膨らませている彼の輝いた目がとても印象的でした。
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